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Advanced topics in the arithmetic of elliptic curves 虚数乗法の章の感想

 

第1回

 例1.31まで。楕円曲線では[m](mは整数)倍写像が重要なisogenyだが、[m]のmとして整数以外を考えれる状況がある。End(E) (Rと同型)がZより大きい時、EはRにCMを持つという(E has CM by R)。RはKの整数環R_Kだけとかは限らないが、R_Kに限定すると簡単になる。R_Kに限定しない場合、RはKのorderと呼ばれるものになり、Z+fR_Kのような形になる。

End(E)とRの同型は、一意化の写像を通してlatticeの複素数倍で定義する。こうして定義した場合、C/Λの方での微分形式ωの引き戻しはとても簡単で、同型で引き戻すことで[π]ω=πωを満たすことがわかる。

 C上の楕円曲線の同型類はCl(R_K)-torsorになっており、類数個しかない。例1.3.1では、Z[i]にlatticeを持つelliptic curveを、イデアル類群の方ではなく楕円曲線の議論、つまりガウスの整数環の場合はiΛ=Λであることを使って楕円曲線の方程式を求めている。するとj invariantはただ1つ求まる。Z[i}がUFDであることを、楕円曲線のlatticeを使って証明しているのである ! Z[√-3]でも同じことができる。

Z[√-5]なら2つ同型類が出てくるが、これの方程式を求めるのは一気に難しくなり、j(E)が整であること、ヒルベルト類体論の理論が必要となる。

 

第2回

 楕円曲線のイデアル等分点の構造が定義される。代数的な議論が小難しい。

 

第3回

 K(j(E),E_tors)が K(j(E))のアーベル拡大であることを示す。CMを持つことからZ加群としてのAutに埋め込めるのだが、さらにR_K加群としてのAutに埋め込めることにもCMを持つことを使う。キッチリ論証できたと思ったら最後の、一番最後のAur_R(R)とR^×が同型のところで、1の行き先だけで決まることが言えなくて赤っ恥をかいた。

 Kの絶対ガロア群からKのイデアル類群への写像が、楕円曲線を使って定義されるが、この写像が楕円曲線の選び方によらずに定まることを論証するのが難しい。(a・E)^σ=a^σ・E^σを言うのであるが、左辺は方程式の係数をいじる代数的なもの、右辺は公式を動かすものであって、これらを結びつけるのは一般に難しい。位相群における蛇の補題を使って、a・Eをidentity componentとして特徴つけれることを証明することになる。

 

 

第4回

 イデアルによる類体論の主役、アルティン写像を定義。ヒルベルトの分岐理論より(大げさ?)分解群から剰余体のガロア群への全射があるが、それは拡大が不分岐な時kerが群論より(分解群は、素イデアルの集合へのガロア群の推移的な作用のfixした素イデアルにおける固定群だと思うのが良い。そうすると、ker(惰性群,位数I)は、分岐指数の1になって同型になる。そこでフロベニウスの持ち上げを(L/K,p)と書いてアルティン記号という。これはしっかり準同型である。

これが全射なのはL関数を使って「ほとんど全ての素イデアルが完全分解するなら」

を使って、ray類群が次数1の素イデアルを無限に含む(算術級数定理)とセットで示す。

kerの方は類体論のdeepな部分。

 

第5回

 前回準備したイデアルによる類体論を使って、K(j(E))がKのヒルベルト類体であることを示す。

第6回 

 中心単純環のことがわかっていれば自明な補題5.2を初等的に示す。さらにCor 5.4で、次数1というのが決定的に聴いている証明であることを理解する。

 

第7回 

 K(j(E),h(E[c]))がKのcを方としたray類体であることの証明。p進体の類体論はQ_p^ab=Q_p^LTQ_p^unrであった事の虚二次体類似である。c=1の時ヒルベルト類体がK(j(E))となるが、これでK(j(E))がヒルベルト類体、としては証明を利用しているので循環論法になる。

 

第8回

 j(E)が代数的整数であること。CMの作用(l進)とガロア群の作用(p進)が噛み合わないという証明。2つの作用が可換になるかどうかが大事。

 

 

第9回

 CMの主定理。Eの係数にσを当てるという代数的な作用を、格子をイデールによって写すという解析的な作用に置き換えるという主張。第7回で示したK(j(E),h(E[c]))がKのcを方としたray類体であることや、K(j(E))がKのHilbert類体であることと同値である。

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